遺伝子変異
遺伝子変異について,分かりやすくまとめられているページ(遺伝子の変異)がありましたので,掲載させていただきます.
以下,転載です.
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■DNAの塩基の変異
・点変異
突然変異にはいくつかの種類がある。その中でも塩基対が一個変化した変異を点変異という。
点変異には「プリン塩基→プリン塩基 or ピリミジン塩基→ピリミジン塩基」の変化と「プリン塩基→ピリミジン塩基 or ピリミジン塩基→プリン塩基」の2種類の変化がある。前者をトランジションといい、後者をトランスバージョンという。
なぜこのように区別するかというと、プリン塩基とピリミジン塩基では構造が異なるからである。「プリン塩基からプリン塩基に変わる場合」と「プリン塩基からピリミジン塩基に変化する場合」では後者の方が変異による影響が大きい。
・欠損や挿入
DNAには塩基が挿入する場合やDNAから塩基が欠損する場合がある。
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■遺伝子レベルの変異
DNAの配列が変わるということはコードされたアミノ酸配列が変わるかもしれないということである。ただし、DNA配列が変わっても影響を与えない場合もあれば大きく影響を与えてしまう場合もある。
・静的変異(サイレント変異)
静的変異とはDNA配列には変化があるが、アミノ酸配列には無関係の場合の変異である。例えば「CTA」はLeuをコードしていることを意味するが、C→Tに変化したとしてもLeuをコードする「TTA」に変化しただけなのでアミノ酸には全く影響を与えない。
・ミスセンス変異
ミスセンス変異とはDNA配列が変化することによって、アミノ酸が置き換わることである。例えば「TTA」はLeuのコードを意味するが、A→Tに変化すると「TTT」となりPheをコードすることになる。変異した場所のアミノ酸がタンパク質にとって重要でない部分ならさほど問題とならないが、変異した部分が重要な場所であればかなり問題である。
・ナンセンス変異
ナンセンス変異とはアミノ酸のコードが終止コドンに変化する変異のことである。例えば「TTA」とコードしている配列があるとする。「TTA」はLeuのコードであるが、T→Gに変異すると「TGA」となり終止コドンへと変化する。終止コドンに変化するとタンパク質の合成は途中でストップしてしまう。この場合、途中で途切れた短いタンパク質が合成されることになる。なお、このタンパク質のほとんどは活性がない。
・フレームシフト変異(読み枠移動変異)
塩基の挿入や欠損の結果として起こる変異である。この場合はアミノをコードする配列がすべて変化する。
■自然に起こる遺伝子変異
別に発癌物質の作用がなくても遺伝子が自然に変異することはある。下に自然に起こる遺伝子変異を紹介する。
・ポリメラーゼの読み間違い
DNAの合成はDNAポリメラーゼが行う。しかし、このポリメラーゼが誤って塩基を挿入してしまったら変異が起きてしまう。
ポリメラーゼによる間違いは大腸菌で調べてみるとかなりの頻度で起きている。ポリメラーゼは10~100個の割合でミスがある。ただし、ミスがあるとそれを修復するような機構が働く。この機構のために本当の意味でのエラーは10-4まで減少する。ポリメラーゼが挿入ミスをして、そのミスが修正されなかったら変異が起こってしまう。
・自然のフレームシフト変異
フレームシフトが自然に起こるときは同じ塩基がいくつも並んでいる場所で起こりやすい。塩基が1つ余分に挿入される場合は、合成中の鎖がずれて合成されるときに起こる。逆に塩基が1つ欠損する場合はテンプレートの方の鎖がずれて合成されるときに起こる。
上の図の状態でもう一度複製が起こると、完全なフレームシフト変異が起きてしまう。
・塩基の互変異性
CはAと対を作る。しかしこれはCがケト型のときの場合であり、Cがエノール型のときはGと塩基対を形成してしまう。これはポリメラーゼのミスでもないので仕方のない変異である。
※ケト-エノール互変異性(ケト-エノール互変異性 ‐ 通信用語の基礎知識)
ケトンやアルデヒドとエノールの間で相互変換するような平衡。多くの化合物ではエノール体よりもケト体(ケトンやアルデヒド)の方が安定であり、よってその平衡はケト体に偏っている。
しかし、エノール体の方が分子として安定であるならば、ケト体でなくエノール体として存在することもある。例えば、フェノールではベンゼン環構造が安定なため、ケト体は取らない。
■自然のDNAの変異
DNAは紫外線や発癌物質によって常に変異を受けている。つまり、決して「DNAは安定である」ということはできない。自然に起こるDNAの変異の種類には下のようなものがある。
・脱塩基部位の生成
脱塩基は自然に起こる変異であり、常に発生している。脱塩基ではデオキシリボースとプリンヌクレオチドを繋いでいるN-グリコシド結合が開裂する。これによって塩基が失われる反応を脱プリン反応という。プリン塩基にはアデニンとグアニンがある。
一般にDNAの脱プリン化は、アデニンの場合が顕著であり、pH<2程度で起こりやすいと考えられます。詳細に述べるとプリンの7位がプロトン化されると脱プリン化されやすくなります。ピリミジンならば脱塩基が反応がおきないか,というとそうではなく,ピリミジンよりプリンの方が20倍以上起こりやすいそうです.(大阪大学 微生物病研究所 -病気のバイオサイエンス-)また細胞内には様々なアルキル化剤が存在しており、これらによりプリンの7位がアルキル化されることで、脱プリン化が誘発されます。
脱塩基が起こるということは、DNAには塩基が失われている場所が存在することになる。この部位をAPサイト(またはアベージックサイト)という。特にプリン塩基のAPサイトをアプリニックサイト、ピリミジン塩基のAPサイトをアピリミジニックサイトという。APサイトが修復されないうちにDNAポリメラーゼが来ると、DNAの複製は一端停止する。しかし、結局はAPサイトに適当な塩基を入れて先へ進む。これによって変異が起こる。なお、大腸菌はAPサイトにAを入れる性質がある。
・脱アミノ化
塩基からアミノ基が失われる反応である。この脱アミノ化は水によって起こる。シトシンが脱アミノ化するとウラシルに変化する。(C→U , 100塩基/日)
ウラシルはアデニンと対を作るので、脱アミノ化をそのままにしておくとDNAの複製によってU:G → U:Aとなり、もう一度複製を行うとU:A→T:Aとなる。こうなるとC:Gが完全にT:Aとなる。(C:G → U:G → U:A → T:A)また、脱アミノ化の問題はシトシンだけでなく5-メチルシトシンにも存在する。通常のDNAのシトシンは約4%がメチル化されている。メチル化の結果、シトシンは5-メチルシトシンとなる。
5-メチルシトシンはシトシンと同じように脱アミノ化する。シトシンが脱アミノ化するとウラシルへと変化したが、5-メチルシトシンが脱アミノ化するとチミンへ変異する。この状態でDNAの複製が起こるとG:T → A:Tとなる。(G:MeC → G:T → A:T)
ウラシルはDNAには存在しないため変異であるとすぐに見分けることができるが、チミンはDNAに存在する正常塩基である。つまり、5-メチルシトシンの脱アミノ化は修復されにくい。修復される場合は親鎖と娘鎖の区別がつくときだけに限られる。このような理由で5-メチルシトシンは変異しやすい部分なのである。また、DNA中での変異体数は一様に散らばっている。つまり、ほとんど同じ割合で変異が発生しているのである。しかし変異対数が通常の100倍にもなる部分があり、この場所をホットスポットという。
・塩基の酸化
DNAの塩基は酸化されると変異をもたらすことがある。チミンが酸化されるとチミングリコールとなり、グアニンが酸化されると8-オキソグアニン(8-ヒドロキシグアニン)に変化する。この8-オキソグアニンはアデニンともシトシンとも対合することができる。
■誘導突然変異
自然に起こる突然変異もあれば、化学物質によって突然変異が誘導される場合がある。このような化学物質が発癌物質である。
・塩基類似物質
塩基に似ている物質がうろうろしているとDNAポリメラーゼが塩基と間違ってDNA上に組み込んでしまうことがある。これによって変異が起こる。例えば、5-ブロモウラシル(BU)はアデニンともグアニンとも対合することができる。
また、DNAの塩基は酸化されて8-オキソグアニンが生じ、これが変異の原因になることがあると前に紹介した。しかし、酸化されるのは塩基だけではない。塩基が挿入されるときは原料としてdNTP(デオキシヌクレオチド)が使われるが、この原料が既に酸化されている場合がある。グアニンが挿入されるときはdGTPが原料となる。このdGTPが酸化されたd8oxoGTPの状態でDNAポリメラーゼによって挿入されるのである。
・メチル化
5-メチルシトシンは正常なメチル化であるが、正常でないメチル化も存在する。この正常でないメチル化にはO6-メチルグアニンなどがあり、O6-メチルグアニンは シトシンにもチミンにも対合する性質がある。
・脱塩基部位形成
これは化学物質によってAPサイトが形成される反応である。例えば、ベンツピレン(B[a]P)の活性体がグアニンと結合すると脱塩基が起こる。これによってAPサイトが形成され、修復される前にポリメラーゼが来ると適当に塩基が入れられて変異が起こる。
・インターカレーションによるフレームシフト変異
この反応は化学物質によってフレームシフトが起こる変異である。ベンツピレン(B[a]P)の活性体がグアニンと結合するとベンツピレンは塩基と塩基の間にはまり込む。塩基同士の間は狭いので、ベンツピレンは間を押し広げてしまう。
この状態で複製が行われると塩基が1つ余分に挿入され、フレームシフトが起きることがある。
固相合成法
DNAやタンパク質(ペプチド)といった生命の根幹に関わる生体高分子の化学合成を可能にした技術が“固相合成法”である。
化学反応,とりわけ有機合成反応では,溶媒に試薬を溶かして反応させるという“液相合成”がもっとも標準的である。いっぽう“固相合成”は,反応させたい分子を固体樹脂上に結合させ,その樹脂上で試薬と化学反応させる合成手法である。先に述べた液相合成では,反応溶液から目的分子だけを分離する必要があり,時として多大な労力を要する。いっぽう,固相合成は,樹脂に結合した目的分子以外の不要物,たとえば残存試薬などを洗浄操作のみで簡便に除けるという大きなメリットがある。そのため固相合成では,煩雑な分離操作なしに連続的に化学反応を行うことが可能となり,手間と時間が大幅に省略される。
固相合成の有用性は,まずペプチドの化学合成で威力を発揮した。たとえば,液相法によってR(アルギニン)−I(イソロイシン)−G(グリシン)−A(アラニン)−K(リシン)…のようなペプチドを合成する場合,アミノ酸の縮合と脱保護を繰り返し行うためひじょうに手間がかかる。ところが1963年,メリーフィールド(R. B. Merrifield)によって4残基ペプチドの固相合成が報告されて以来,現在では自動ペプチド固相合成装置を活用することで,数十残基のペプチドが数日もしくは一日でほぼ自動合成されるまでに至った。またDNAも,現在では固相合成およびその自動化が一般的になっている。
固相合成法 - 理学のキーワード - 東京大学 大学院理学系研究科・理学部
ペプチド合成の例として,アミノ酸のアミノ保護基として9-fluorenylmethyloxycarbonyl(Fmoc)基を用いるFmoc法による固相法について説明します。
固相法によるペプチド合成では、最初に合成しようとするペプチドのカルボキシル基末端のアミノ酸を樹脂に結合させます。このときカルボキシル基末端のアミノ酸のアミノ基はFmoc誘導体になっておりカルボキシル基を介して樹脂に結合させます。既にFmocアミノ酸が樹脂結合した物が市販されています。また、生理活性ペプチドによくみられるカルボキシル基末端がアミド化されたペプチドを合成するためにはアミド結合を介して樹脂に結合させる特殊な樹脂も市販されています。
カルボキシル基末端のアミノ酸を結合した樹脂をカラムにつめFmoc保護基を取り除きアミノ基を遊離させます。(Deprotection)これにFmocアミノ酸の活性エステルを反応させてペプチド結合を形成させます。(Coupling)
以上のDeprotection(脱保護)とCoupling(結合)を繰り返すことで目的とするアミノ酸配列を持ったペプチドをカルボキシル基末端からアミノ基末端に向けて合成を行います。
ペプチド鎖の延長が終われば樹脂から切り出し、ついでFmocならびにアミノ酸側鎖の保護基を取り除くことで目的のペプチドが得られます。ペプチド結合を形成するステップは99%以上の反応収率で進行しますが最終産物はかなりの混合物となりますのでHPLCで精製する必要があります。
http://wwwcrl.shiga-med.ac.jp/home/kiki_bumon/g_book/psyn/intro/fig001.gif
腸内細菌
腸内にすむ菌(腸内細菌)は、数百種類に分かれ、約100兆個いるといわれています。
これらの細菌は、その種類ごとに集団を形成しながら住み着いています(腸内フローラ)。顕微鏡で個々の細菌を観察すると、棒状、球状、枝分かれ状などの形をしています。また、菌同士がばらばらでいたり、連なっていたりして、集団の形もさまざまです。腸内細菌は、小腸から大腸まで、自分の住みやすい場所に分布しています。消化液が多い胃や十二指腸では菌が少ない(1グラムあたり1万個以下)ですが、それより下の小腸(空腸~回腸)になると、1グラムあたり1000万個以上の菌が見つかるようになります。位置的にみて、小腸には空気(酸素)が存在しやすいので、酸素の有無に関係なく生育できる細菌(通性嫌気性菌)の乳酸捍菌が多く住み着いています。盲腸から大腸になると、殆ど無酸素状態になり、酸素の嫌いな細菌(偏性嫌気性菌)が爆発的に多くなり、1グラムあたり1000億個に近づきます。ビフィズス菌は偏性嫌気性菌の代表であり、同じような性質をもつ菌としてバクテロイデス菌やユウバクテリウム菌なども有名です。
ヒトの腸内にはどのような微生物が棲んでいるのですか?|よくある質問|日本ビフィズス菌センター
http://www.synapse.ne.jp/okb84tc014/myillness/images/tyo.gif
自己免疫疾患
自己免疫疾患とは免疫システムが正常に機能しなくなり、体が自分の組織を攻撃してしまう病気です。
抗原は人間の組織の細胞にも存在します。通常であれば免疫システムは異物や危険な物質に対してだけ反応し、自己の組織の抗原には反応しません。しかし免疫システムが正常に機能しなくなると、自己の組織を異物と認識して、自己抗体と呼ばれる抗体や免疫細胞を産生して特定の細胞や組織を標的にして攻撃します。この反応を自己免疫反応と呼び、炎症と組織の損傷を引き起こします。こうした反応は自己免疫疾患の症状である場合がありますが、作られる自己抗体の量がごく少量であれば自己免疫疾患は起こりません。
特に多くみられる自己免疫疾患に関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(ループス)、そして血管炎があります。このほか、自己免疫反応によるものと考えられている疾患には糸球体腎炎、アジソン病、混合性結合組織病、多発性筋炎、シェーグレン症候群、全身性進行性硬化症、そして一部の不妊症があります。
ハインリヒ・ペッテ研究所の免疫学者Marcus Altfeldによると,女性は胎児や新生児を守るために,特に迅速で強大な免疫反応を進化させてきたのかもしれない,ということだそうだ.しかし,一方で免疫系が過剰に反応してしまうリスクもあり,それが女性の方が男性に比べて多発性硬化症や狼瘡などの自己免疫疾患にかかりやすい原因かもしれないそうです.
多発性硬化症:脳や脊髄を調べてると、手で触って硬く感じられる病変があちこちに見つかるためにこのように呼ばれている.多発性硬化症は、免疫系が自己の中枢神経組織を外敵や異物として認識してしまい起こる自己免疫疾患と考えられている.
狼瘡:結核菌が血行により運ばれ、全身の皮膚、特に顔面の組織が破壊されて結節・潰瘍(かいよう)・瘢痕(はんこん)などができる病気。
ドラッグ・リポジショニング
ドラッグ・リポジショニング(略称DR)とは特定の疾患に有効な治療薬から、別の疾患に有効な新たな薬効をみつけだすことです.
その例としてよく知られているのが勃起(ぼっき)不全(ED:Erectile Dysfunction)治療薬のバイアグラで、当初は冠動脈拡張作用をもつ狭心症治療薬として開発されたが、男性性器の勃起を促す作用のあることが確認され、新たに勃起抑制酵素の抑制と陰茎動脈の拡張作用をもつED治療薬として製品化された。また、サリドマイドは睡眠薬として開発され、妊婦のつわり予防を目的に鎮静剤として消化薬に配合されたが、あざらし肢症などの先天性障害児が生まれる結果となり発売中止となった。しかしその後、ハンセン病に併発する皮膚炎や疼痛(とうつう)に薬効が認められたため、アメリカで販売が許可され、日本でも多発性骨髄腫(こつずいしゅ)の治療薬として再認可されている。
ドラッグ・リポジショニング(どらっぐりぽじしょにんぐ)とは - コトバンク
このドラッグ・リポジショニングが注目を浴びるようになった理由には,Eroomの法則というのがある.過去60年間の米国の創薬の歴史をたどってみると、研究開発費10億ドルあたりの認可された新薬の数が、9年ごとに半分に減ってきている、言い換えると、新薬開発コストが9年で倍々に増えているということだ。「半導体の集積密度は18〜24カ月で倍増する」というMoore(ムーア)の法則がある。これは、技術革新のすばらしさについての法則だ。これと反対で、困った法則だなぁということで、Mooreの逆をとってEroomの法則と名付けられた。(なかのとおるのええ加減でいきまっせ! (27) 困った法則「イールーム」 :日本医事新報社)
http://blogs.sciencemag.org/pipeline/wp-content/uploads/sites/2/2015/04/RD-trend.png
ドラッグリポジショニングは,このEroomの法則の効率低下を改善するのに役立つ可能性があるとして注目を集めている.新薬の開発では、治験において副作用が認められ安全性が確保できなかったり、薬効として明確な体内動態を証明できないことも多い。しかし既存薬はヒトの体内動態も明らかで安全性も確認されており、作用をあらためて調べ直し、ほかの疾患治療薬として実用化できれば開発コストの削減にもつながる。
トリプトファン代謝
京都大学の名誉教授早石修博士が昨年逝去された.早石博士はトリプトファン代謝を研究し,酸素添加酵素を発見されました.
トリプトファンとは体内で生成することのできない必須アミノ酸の一つ.5-HTP(5-ヒドロキシトリプトファン)という代謝物質を経て,強い抗ストレス作用を持つ『セロトニン』、睡眠ホルモン『メラトニン』、脂肪分解作用を持つ『ナイアシン』、また最近の研究でうつ病や双極性障害などとの関連が指摘されている『キヌレニン』など、人体の恒常性維持や健康維持に重要な役割を担っている様々な神経伝達物質やホルモン等の前駆体(原料)として利用されています。(http://www.human-sb.com/tryptophan/)
https://www.anshin-tsuhan.jp/drug_search/imageDrugIngredients/569_w280.png
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/1/14/Melatonin2.svg/346px-Melatonin2.svg.png
食品などから摂取したトリプトファンの、セロトニンやメラトニンへの合成経路は以下のようになります。トリプトファンの不足によって起こる脳内のセロトニンの不足は、男性よりも女性に起こりやすいとされています。女性の場合、生理周期の影響から、脳内で働くセロトニン神経が抑制されてしまう時期があり、その間、セロトニンの分泌が減少してしまうことが分かっています。
1. タンパク質を摂取(食品やサプリメントから)
↓
2. トリプトファン(必須アミノ酸)
↓
3. 5-HTP(5-ヒドロキシトリプトファン)
↓
4. セロトニン(脳内物質、不足するとうつ病など)
↓
5. メラトニン(睡眠ホルモン)
早石先生は酵素トリプトファンが酸素分子を取り込んで酸化反応を起こすことを突き止め、生体酸化が脱水素反応に限られるという定説を覆しました。この酸素は酸素添加酵素(オキシゲナーゼ)と名付けられ、呼吸の仕組みの解明に貢献しました。
世界と日本の死因まとめ
世界と日本で主な死因が異なることはご存知の方も多いと思いますが,その病名や要因を全てスラスラと言える人は少ないはず.そんなわけで,ちょっと整理してみました.
まず世界の死因についてですが,
世界で最も多い死因とはのページを参考にすると,2003年時点でのトップ5は
1.感染症(1500万人)
2.心疾患(880万人)
3.ガン(710万人)
4.脳疾患(550万人)
5.事故など(520万人)
となっています.ただし,感染症については細菌やウイルスの種類が様々であり,細かくみると
・肺炎 385万人
・エイズ 282万人
・下痢症 177万人
・結核 160万人
・マラリア 122万人
・はしか 76万人
・百日咳 30万人
・破傷風 29万人
となっているそうです.統計によっては,感染症としてまとめずに細かく病名で分けている場合も多いので,その場合には心疾患が一位ということになりますね.
続いて日本はというと,
1.がん
2.心疾患
3.脳血管疾患
4.肺炎
となっています.感染症は日本では少なく,やはりガンが脅威ですね.ただし4位に肺炎があるので,近年薬剤耐性菌が増えていることを踏まえると感染症も侮れません.
ちなみに,年代別の死因はどうなっているのか厚生労働省のページを参考に調べてみました.各年代別の死因一位を調べると次のようになっています.
・0~5歳:先天奇形,変形及び染色体異常
・5~14歳:不慮の事故
・15~19歳:不慮の事故,自殺
・20~39歳:自殺
・40~89歳:がん
・90~99歳:心疾患
40歳未満の多くは事故または自殺だそうです.良く見れば医療が充実しているからだと言えなくもないですが,自殺が多いのは非常に残念な実態ですね.
5歳未満の子供では不慮の事故も多いのが実態です.その事故の実態を調べると次のようになっていました.
http://sickchild-care.jp/point/5117/
寝ていることの多い0歳児は、吐物や異物などによる窒息がとても多いそうです.乳児期前半では、母乳やミルク、離乳食などが原因になりやすく、何でも口の中に入れたがる乳児期後半になると、小さな物を自分でつまんで口に入れて、気道をつまらせる危険があるそうです.
続いて1歳~4歳では、危険を予知するほどに知能が発達しないまま行動範囲が広がるため、「交通事故」が原因のトップになるそうです.