バイオニュース│DNA・ゲノム情報による医療・創薬の実現

医療関係者としてバイオ/DNA/ゲノム関連の最新の話題をとりあげます.学習/勉強が目的なので,新しい用語が現れたときにはその都度意味を確認していきます.

ピロリ菌

ピロリ菌が胃炎や胃潰瘍などの胃の病気に深く関っている細菌で,胃の粘膜に生息しているらせん形をしています。

胃の中は強酸(pH1-2)であるため、昔から細菌はいないと考えられていました.ピロリ菌は実はpH4以下では実は生きることができないのですが,なぜ生息できるのでしょうか.

実はピロリ菌はウレアーゼという酵素を出していて,この酵素が胃の中の尿素を分解してアンモニアを作ります.するとアンモニアによってピロリ菌の周りの胃酸が中和されるので,生息できてしまう,ということだそうです.

 

今回,なぜピロリ菌の話を出したのか,というとピロリ菌がエピジェネティクスに関与しているためです.ピロリ菌感染による慢性炎症が続くと、胃粘膜の細胞にDNAメチル化異常が誘発されます。前回話題に挙げたように,DNAメチル化異常が蓄積すると発がんリスクが高い状態になり、更に刺激が加わると胃がんが発生すると考えられているそうです.

 

ちなみに,ピロリ菌の感染経路はどのようになっているのでしょうか.実はこれははっきりとまだ分かっていないそうなのですが,口から入れば感染することは間違いないそうです.

ただし,上下水道の生活環境が整備された日本では生水からの感染は考えにくいそうで,また大人になってからの感染も起こらないと考えられているそうです.

ピロリ菌はほとんどが幼児期に感染すると言われているそうです.幼児期は胃の中の酸性が弱くピロリ菌が生き延びやすいそうです.大人から子供への口移しなどで感染する可能性が高いそうなので,要注意ですね.