バイオニュース│DNA・ゲノム情報による医療・創薬の実現

医療関係者としてバイオ/DNA/ゲノム関連の最新の話題をとりあげます.学習/勉強が目的なので,新しい用語が現れたときにはその都度意味を確認していきます.

自己免疫疾患

自己免疫疾患とは免疫システムが正常に機能しなくなり、体が自分の組織を攻撃してしまう病気です。

抗原は人間の組織の細胞にも存在します。通常であれば免疫システムは異物や危険な物質に対してだけ反応し、自己の組織の抗原には反応しません。しかし免疫システムが正常に機能しなくなると、自己の組織を異物と認識して、自己抗体と呼ばれる抗体や免疫細胞を産生して特定の細胞や組織を標的にして攻撃します。この反応を自己免疫反応と呼び、炎症と組織の損傷を引き起こします。こうした反応は自己免疫疾患の症状である場合がありますが、作られる自己抗体の量がごく少量であれば自己免疫疾患は起こりません。

特に多くみられる自己免疫疾患に関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(ループス)、そして血管炎があります。このほか、自己免疫反応によるものと考えられている疾患には糸球体腎炎、アジソン病、混合性結合組織病、多発性筋炎、シェーグレン症候群、全身性進行性硬化症、そして一部の不妊症があります。

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ハインリヒ・ペッテ研究所の免疫学者Marcus Altfeldによると,女性は胎児や新生児を守るために,特に迅速で強大な免疫反応を進化させてきたのかもしれない,ということだそうだ.しかし,一方で免疫系が過剰に反応してしまうリスクもあり,それが女性の方が男性に比べて多発性硬化症や狼瘡などの自己免疫疾患にかかりやすい原因かもしれないそうです.

 

多発性硬化症:脳や脊髄を調べてると、手で触って硬く感じられる病変があちこちに見つかるためにこのように呼ばれている.多発性硬化症は、免疫系が自己の中枢神経組織を外敵や異物として認識してしまい起こる自己免疫疾患と考えられている.

狼瘡:結核菌が血行により運ばれ、全身の皮膚、特に顔面の組織が破壊されて結節・潰瘍(かいよう)・瘢痕(はんこん)などができる病気。